番外 「三条小鍛冶宗近の金蛇(かなへび)様」 |
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宗近は帝の勅命を受け、魔を祓う刀を鍛えんと、諸国を巡り、 相応しい地として当山後方の険しい山に籠り、鍛冶場を構えたとの伝説があります。 宗近が名刀「狐丸」(きつねまる)を鍛える時、蛙の啼き声を静めんとして体か作り、 当山に納めたのが“金蛇様”の由来です。 その後 蛙の被害に悩んだ里の農家が金蛇様を借り出したところ、 何と、蛙は皆退散したとのこと。 それを聞いた近郷在住のお百姓は、我も我もと借り受け、金蛇様は一年中 寺に帰ることが無いほどでした。 それでも、初めのうちは盆と正月は寺に戻されていましたが、住職は「そんなに効き目が あるものなら寺に持ち帰るには及ばず。」として貸し与えたとか。 後年、金蛇様の一体が南下し取三色村に落ち着き、金蛇水神社のご神体となりました。 農作物を守り、五穀豊穣、金運財運にご利益ありとされています。 また、この郷に残った一体は名生定村を廻っていましたが、いつしか蛙の被害も収まり、 ご利益を受けずとも良しとなり、川渡祥雲寺に帰されたといいます。 数百年の長い間、寺にも帰らず巡り歩くうちに、寺の住職は何代も代わり、 里人もまた移り変わり寺違いしたものと語り伝えられています。 |